一連の確率問題の解説 via 「2つの封筒問題」

今日は、一連の確率問題の考え方を解説して、
「2つの封筒問題」 2009-08-05

封筒問題というのは、2つの封筒があって、片方にはもう片方の2倍の金額が入っている。最初にどちらかの封筒を選んで、中を見てから別の封筒に交換することができるが、交換したほうが得かどうか。

を解いてみたいと思います。(次回持ち越し)


確率の話をいつも正しく考えるためには、「この状況に至る道筋」を、よく考える必要があります。
それぞれの道筋を辿る確率を全部足せば、「この状況が起こる確率」が求まります。
そのうち、「お目当ての道筋」の割合がどれくらいかを見る必要があります。
はい、すごくわかりにくいですね。

まず、単純な例を出します。

AさんにはBくん・Cくんという二人の息子がいます。
二人は晩ご飯の担当で、毎日、ジャンケンで負けた方がご飯を作っています。
Bくんはどちらかというと料理が上手で、5回作って1回くらいしか失敗しません。
Cくんはどちらかというと料理が下手で、7回作ると、うち5回くらいは失敗です。
ある晩、仕事で疲れて帰ってきたAさんを、強烈にまずい晩ご飯が襲いました。
「この晩飯を作ったのは誰だあっ!!」

しかし、この時間には二人とも寝てしまっています。
Aさんはこめかみを押さえながら、何が起きたらこの晩ご飯が出るか考え始めました。
このまずい晩ご飯は、

  1. Bくんがジャンケンに負けて、料理を失敗する。
  2. Cくんがジャンケンに負けて、料理を失敗する。

の、どちらかのルートを通ってきたはずです。
また、そのためには、それぞれ

  1. Bくんがジャンケンに負け (1/2) × Bくんが料理に失敗する (1/5) = 1/10
  2. Cくんがジャンケンに負け (1/2) × Cくんが料理に失敗する (5/7) = 5/14

という確率をクリアする必要があったはずです。
この2つを足すと、まずい料理の出てくる確率となります。*1
1/10 + 5/14 = 32/70 = 16/35


さて、今回運悪く、この 16/35 の確率にひっかかってしまったわけですけれども。晩飯を誰が作ったのかを知るためには、1.のルートを通って出てきた晩飯なのか、それとも、2.のルートを通って出てきた晩飯なのか、ということが重要です。

Bくんが料理を作ったルートは、まずい料理が出てくる確率の 16/35 に対して、1/10 だけ貢献しています。一方、Cくんが料理を作ったルートは、16/35 のうち 5/14 もの割合を占めています。16/35に当たったといっても、そのうちの大部分がCくんが料理を作った方のルートなわけですから、Cくんが料理を作ったルートを通ってきた可能性が高いわけですね。
この割合が、そのまま各ルートを通ってきた確率だと、納得してもらえるでしょうか?

  1. のルートを辿った確率… (1/10) / (16/35)
  2. のルートを辿った確率… (5/14) / (16/35)

したがって、

  1. Bくんが作った確率が、(1/10) / (16/35) = 7/32
  2. Cくんが作った確率が、(5/14) / (16/35) = 25/32

と、判明しました!

事後確率とかなんとか言ってますが、こういうことなんです。
情報が得られたら、どんなことが起きたらこの情報が出てくるか、道筋をつける。
それから、各道筋を辿るための確率を求めて、情報が出る確率にどれだけ貢献しているかを見る。


ネ?簡単デショ?


以上の考え方をしっかり適用すれば、「2つの封筒問題」も楽に解くことができます。
簡単に、と言いつつ長くなってしまったので、今回はここまで。
次回は、先日の「トランプと3つの箱」と、冒頭「2つの封筒問題」について、今日説明した解き方を適用します。

*1:単純に足すだけでよいのは、同時に両方のルートを辿ることはないことから。というか、同時に起きる可能性があるようなルートはさらに場合分けすべき。