日記

「46年目の光」という本を読んでいる。視覚工学の授業で紹介されて、本の内容にえらく魅力を感じ、教員にお願いして即日借りてきたものだ。読了したら、本の内容について何か書こうと思うが、今日は途中で出てきた主人公の独白について。

三年になると、成績は平均で「B+」まで上がったが、電気工学という専攻にピンと来ないものを感じはじめていた。そんなある日、国際関係論のセミナーに顔を出し、すっかり魅了されてしまった。工学の世界では、あらゆる事があらかじめかっちり決まっている。回路と回路の接続の仕方はすでに100パーセント確定している。それに比べて、文化系の学問にはミステリーの要素がある。大学の教務課に出向いて、専攻を政治学に変更した。メイは新しい進路に足を踏み出そうとしていた。

また一人、工学者が減ってしまった!なんてこった!

彼の言うことも分からなくはない。確かに文系の物事は未開拓の部分が多くて、理系の学問より探索課題や解決策を見出しやすいのだろうと思う。だけどそれは、開拓済の部分の量、敷設された道路の長さの違いであって、文系でも、ある事が一度分かってしまえば、その後は「かっちり決まっている」類の知識になるんだと思う。そして結局は理系も、先端の所では、誰も知らないことを把握しようとして頑張っているんだよなあ。そのことは、四年生になって研究室に配属されて、研究を始めればしっかり体感できるし、周りに年長の進路相談相手がいれば、そのあたりの話も聞けたと思うんだが。惜しい。

きっと、学部生に対して、未開拓の部分がすぐそこにあるってことを肌で感じさせるような授業をしないとだめなんだろう。転籍するような人は少数派だと思うけれども、学部生のモチベーションは学力に直結するから。